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子どもの養育費

養育費とは、子供を監護・教育するため必要な費用のことであり、衣食住に関する費用や教育費、および適度な娯楽費などが含まれます。
親には、未成年の子供を養育(扶養)する義務があります。
未成熟の子どもに対する養育費の支払義務は、親の生活に余力がなくても自分と同程度の生活を保障するという「生活保持義務」であるとされています。
この養育義務(養育費の支払義務)は、親権や監護権の有無とは関係がありません。
支払い時期は未成熟子が社会人として自立するまでとされており、父母の学歴などの家庭環境、資力により異なりますが、一般的には、20歳ないし大学卒業までなどと定めることが多いです。
ただし、経済的事情により、高校卒業までと定める場合もあります。
障がいのある子の場合は、その程度によっては、成年後も一生、養育介護が生じることもあり、他界するまで「養育費支払義務」が生じることもあります。

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養育費の支払い方法

未成熟の子の養育費は、子の成長の過程で必要な監護養育の需要を満たすべきものでなければなりません。
これは、養育費の性質は、養育費の負担は子の成長とともに必要な都度生じるのが普通であるという考え方によるものです。
そのため、通常は、毎月一回ずつ、日付を決めて支払う、という方法を取ることが一般的です。

具体的な負担が発生していない将来分まで含む一括払いについては、一般的に養育費の性質にはなじまないとされているため、公正証書の作成においては、公証人に拒否される場合もありますし、裁判所の審判においても定期金による支払いによるべきだとするのが原則です。

ただ、支払義務者に浪費癖がある・仕事が長続きしない、もしくは、重大な怪我や病気で就労不能の状態である、など、長期にわたる確実な履行が期待できないような事情がある場合には、支払義務者が同意し、かつ支払能力があるのであれば、一括払いでの定めをすることもあります。

なお、そのまま一括して受け取ると、贈与とみなされ、税金(贈与税)が発生してしまう可能性もあります。
そこで、養育費を一括で貰っても贈与税を非課税にするには、信託銀行が扱っている「養育信託」にするという方法があります。
これは、養育費を支払う側が、一括または積立として預け、信託銀行を経由し、養育費として子どもに渡るというものです。
信託契約中の解約は出来ない、解約する場合は元夫(妻)と子供双方の合意がいるなど、養育費の支払いが確保されるメリットもあります。

一般の金銭債権においては、遅れた場合に「遅延損害金として年◯%の割合による遅延損害金を支払う」などと、遅延損害金の定めをおくという方法があります。
ただし、養育費というのは、あくまで生活している中で日々発生する生活費という意味合いが原則ですので、公証人によっては、遅延損害金の定めを記載することを認めない場合も多くありますので、ご注意下さい。

また、同様に、連帯保証人をつけてもらたいという場合についても、養育費というのは、原則として、その両親のみが負う一身専属的な債務であることから、公証人によっては、認めてくれない場合もありますし、認められるとしても、その債務者の両親など、身近な親族に限られますので、ご注意下さい。

養育費を確実にするためには、銀行の自動振込システムを利用するとか、銀行引き落としの代行サービスを利用するなどもありますが、一定の手数料が生じますので、よく確認される必要があります。

なお、現実問題として、支払う側が不慮の事故や病気で他界してしまうと、養育費は得られなくなります。
そのため、可能であれば、養育費を支払う側が、別途に、「死亡した場合に子どもに毎月一定額の支払いが生じる」タイプの生命保険商品に加入するという方法もあります。


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養育費の算定

養育費の金額については、平成15年4月に裁判官らが集まって作成した、養育費・婚姻費用算定表というものが裁判所より公開・公表されており、裁判実務上も、この算定表を基準にして審判や判決がなされています。

>>養育費算定表はこちら

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養育費の強制執行に関する特則

養育費の一部について不履行が生じた場合には、給与等の定期給付債権のうち、期限の到来していない部分も含め、その2分の1まで差押えすることが可能です。

民事執行法
第151条の2(扶養義務等に係る定期金債権を請求する場合の特例)
債権者が次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する場合において、その一部に不履行があるときは、第三十条第一項の規定にかかわらず、当該定期金債権のうち確定期限が到来していないものについても、債権執行を開始することができる。
一  民法第七百五十二条 の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
二  民法第七百六十条 の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
三  民法第七百六十六条 (同法第七百四十九条 、第七百七十一条及び第七百八十八条において準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
四  民法第八百七十七条 から第八百八十条 までの規定による扶養の義務
 2 前項の規定により開始する債権執行においては、各定期金債権について、その確定期限の到来後に弁済期が到来する給料その他継続的給付に係る債権のみを差し押さえることができる。
第152条(差押禁止債権)
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
一  債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二  給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
 2 退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
 3 債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。

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