公正証書の作成手続き

離婚、遺言、金銭消費貸借、債務弁済、任意後見、その他

公正証書とは? > 公正証書作成の注意点


公正証書作成の注意点

注意

公正証書を作成する場合には、いくつかの注意点があります。
主要な注意点を列挙します。
・原則的な注意点
・金銭債権
・離婚協議書
・遺言公正証書

原則的な注意点

公証人は、検察次官や裁判官などの法律の専門家が定年などによって退官してからの数年間、業務を行います。
そのため、法律に関する専門家ではありますが、決して、「離婚」「相続」などの個々の問題自体に関する専門家ではありませんし、多くの場合、強制執行手続きや登記の実務に関する専門家でもありません。
また、弁護士のように、どちらか一方の利益のために職務を行う者でもありません。
よって、例えば、金銭消費貸借契約において、当事者双方が出頭して取り決め条件や借用書を提示して作成を依頼した場合、遅延時のための「期限の利益喪失約款」など、どちらかの有利になる条項などは、当事者がその記載を求めなければ、公証人が勝手に書き足すようなことはしないのが普通です。

また、金銭の支払以外の、個人間の守秘義務や連絡先変更の通知義務などの定めについても、記載を求められていなければ、記載されることはありません。

文書というのは、何よりも、その「書く内容」が大事なのであって、あとで解釈に争いが生じないようにしたり、履行意思を強く自覚させたりすることが大事なのです。

当事務所にも、すでに作成済みの公正証書について、記載内容に不備や不明瞭な箇所があるがために強制執行が行えないとか、登記の手続きが出来ない、相手がきちんと責任を自覚しない、などということで、相談をうけることがあります。
ただ、そのような場合、弁護士を紹介することは出来ますが、取り決めた契約ですから、後からでは、どうもならない場合も多いです。

そのため、もしも将来的にトラブルや疑義が生じる心配がある場合などは、きちんと専門家に相談されることをお勧めします。


金銭債権に関する注意点

お金の貸し借りや、債務弁済など、金銭の支払いに関して定める公正証書について、主要な注意点・チェック項目は、以下のとおりです。

強制執行認諾条項
金銭債務の履行を定めた場合、せっかく公正証書にするのであれば、余程の事情がない限り、強制執行認諾条項は入れておくべきものです。
この条項が記載されていないと、もしも不履行となった場合、せっかく作った公正証書であっても、その最大の効力である、財産の差押(強制執行)の申立を行うことが出来ません。
債権の特定
債務弁済契約や準消費貸借契約においては、何時どこでどのように発生した債権で、現時点での債務はいくらなのか、ということを具体的に特定しなければなりません。
期限の利益の喪失条項
分割弁済となる契約においては、必ず「期限の利益喪失」条項を付しておいた方が無難です。
そうでないと、支払が滞った場合でも、現に不履行となった分以外の残債務を請求することが出来なくなってしまいます。
利息・損害金の有無や内容の定め
民法上、私人間での貸し借りについては、原則として無利息です。
定めをおかなれば、請求することは出来ません。
また、分割弁済においては、遅延した場合の遅延損害金などもきちんと定めておかなければ、請求することは出来ません。
なお、利息・損害金については、利息制限法により、上限が定められていますので、これを超えて定めても違法となります。
利息や遅延損害金とは別に「違約金」を定めた場合には、利息制限法の適用はありませんが、あまりに高額ですと公序良俗違反などになりますので、ご注意下さい。
また、売掛金の場合、消費者契約法に定める年14.6%などが適用されるケースもあります。
ご不明な場合は、ご相談下さい。
連帯保証人・担保差し入れ
債権を保全する方法としては、連帯保証人を立ててもらうとか、担保を提供してもらう方法が有効です。
不動産や自動車などの物的な財産が無い場合でも、生命保険の還付金や敷金その他の債権を担保として定めておく方法はあります。

離婚の公正証書に関する注意点

離婚における慰謝料や財産分与、養育費などの取り決めをする公正証書について、主要な注意点・チェック項目は、以下のとおりです。

科目の内訳
慰謝料、財産分与、養育費、離婚後扶養金などがある場合、合計した支払金額の定めとせずに、それぞれの科目毎に分けて明記することをお勧めします。
特に、養育費と慰謝料・財産分与は、別個の法律行為であり、時効の有無や期間、および、強制執行しうる範囲なども異なります。
時効期間は、慰謝料が3年であり、財産分与が2年です。
養育費そのものには時効はありませんが、書面で取り決めた場合には「確定給付債権」として各回の分割金が別個独立して5年の消滅時効になります。
差押(強制執行)を行う場合、この内訳が明確になっていないと、差押出来る範囲に不利益が生じます。
慰謝料や財産分与における金銭債務については、給与所得等の定期手取り収入の4分の1までが差押可能範囲ですが、養育費や離婚後扶養金については、特例があり、給与所得等の定期手取り収入の2分の1まで差し押さえることが出来ます。
財産分与については、預貯金と現金などの反対債権と、同等額で相殺をすることが出来ますが、慰謝料は、債権者から一方的に相殺をすることの出来ない債権です。
以上のとおり、慰謝料・財産分与・養育費については、出来る限り、個別に金額を明示しておく方が安心です。
金銭以外の現物給付
不動産など、金銭以外の現物での給付については、所有権移転登記手続きの履行期限などを明確に定めておくことが大切です。
そうしないと、期限の定めがない債務となり、万が一不履行となった場合など、手続きが面倒になります。
また、登録免許税などの費用負担を誰がするか、所有権移転するまでの固定資産税や管理費・修繕費をどちらが負担するか、なども、出来る限り明確に定めておくことが大切です。
財産分与の範囲
財産分与によって取得した財産には、原則として贈与税はかかりません。
しかしながら、社会通念上の許容範囲を大きく超えるような財産分与が為された場合には、贈与税が課せられる場合があります。
また、不動産を取得した場合には、譲渡所得税が課せられる場合があります。
養育費について
養育費とは、子供の生活に欠かせない食費や教育費・娯楽費その他の生活費用の負担のことであり、養育費の定めとは、両親の扶養義務の分担についての定めです。
そのため、本来は、生存し、成長して行くことで、日々生じるものであり、分割払いが原則です。
よって、不払い時の『期限の利益喪失条項』なども付することは出来ません。
ただし、例外的に一括払いとして定める場合には、期限の利益喪失条項を付することも可能です。
両親の間で「養育費不支給の合意」を定めても、扶養を受ける権利を処分することは禁止されております(民法第881条)ので、後で無効とされる可能性があります。
また、「養育費不支給の合意」があっても、あとで子供自身が養育費の請求をすることは妨げられないとする最高裁判例もあります。
よって、トラブルの元ですから、そのような定めはお勧めしませんので、ご注意下さい。

遺言の公正証書に関する注意点

遺言によって、死後の相続に関する取り決めをする公正証書を作成する場合について、主要な注意点・チェック項目は、以下のとおりです。

遺留分
続財産のうち、相続人に保障された一定割合の部分(遺留分)を侵害していれば、あとで減殺請求を受ける可能性はあります。
出来れば、遺留分を侵害しない方がいいのでしょうが、事情がある場合は、減殺請求を受けた場合のことも計算した上で内容を定めておく必要があります。
秘密保持
公正証書遺言においては、証人2名を立てなければなりません。
相続人や受遺者及びその配偶者など利害関係のある人は証人になれません
そうすると、証人2名と公証人、の最低でも3名には内容が知られます。
万が一、遺言内容が相続人に知られてしまったら、トラブルの原因になりかねません。
そのため、公正証書遺言においては、自筆証書遺言と異なり、遺言の秘密保持が重要となります。
よって、証人となる者については、法律で守秘義務が課せられている国家資格者である、弁護士司法書士行政書士、などに依頼されるのが一番安心です。
遺言執行者の定め
遺言執行者を定めるかどうかは任意ですが、遺言執行者を定めておいた方が安心です。
遺言執行者とは、遺言にの代わりに相続の手続きを行う者のことをいいます。
相続手続きは、不動産の登記や預貯金の解約・払い戻し、など複雑で煩雑な手続きがたくさんあります。
遺言執行者が指定されている場合、相続人は財産の処分やその他の遺言執行の妨害となる行為をすることが出来なくなります。
遺言執行者は、遺言書でのみ指定することが出来ます。
なお、認知や相続の排除・取消しにおいては、必ず遺言執行者が必要です。
遺言執行者が選任されていない場合、相続人の誰かが代表者となって手続きを進めることになりますが、煩雑な手続きの負担を強いることになり、また、他の相続人からごまかされているような疑念を受ける可能性もあります。
信頼の出来る身内か、そうでなければ、弁護士や行政書士などの専門家に就任してもらうのが安心です。

相続税
遺言によって財産を相続させる場合、相続税も十分に考慮しておく必要があります。
平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税については、基礎控除が引き下げられ、相続税を支払う対象者の範囲が拡大し、最高税率の引上げ、未成年者控除や障害者控除の控除額が引き上げられました。
小規模宅地等の特例や農地の特例・広大地の特例、など、税法上の確認点は多岐にわたります。
公証人は税金の専門家ではありませんから、税理士の先生に相談することになります。
しかし、実は税理士の先生であっても、多岐の項目に渡る複雑な「相続税」をきちんと理解して処理出来る人は、実は少数です。
当事務所では、希望がある方には、相続専門の税理士の先生を紹介しております。



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