内縁関係(事実婚)について
役所に婚姻届を提出することで戸籍法上の夫婦関係として認められます。
この、法律上の手続きに従った婚姻関係のことを「法律婚」といいます。
一方、婚姻の意思があり、夫婦としての生活の実質がありながら、『婚姻届』を提出していない状態のことを「内縁関係(事実婚)」または「準婚姻関係」といいます。
法律上、婚姻は両性の意思の合意によってのみ成立し、夫婦にはいくつかの義務が課せられています。
夫婦間の義務 |
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そして、法律上の婚姻関係でない「内縁関係」についても、判例上、法律婚の夫婦と同等の法律上の権利や義務を有すると認められています。
ただし、法律婚の場合には、仮に別居していても、生計が別になっていても、戸籍法上の届出によって夫婦であることが公的に証明されていますが、内縁関係が認められるためには、下記のとおり、一定の要件をクリアしている必要があります。
なお、ただ単に一緒に生活しているだけでは、そこには「婚姻の意思」や「夫婦の実質」がないため、「同棲」であり、内縁にはなりません。
また、婚姻意思が合致していても、共同生活(同一生計・同一居所)の実質がなければ、「婚約」にはなるかも知れませんが、内縁にはなりません。
つまり、内縁関係の場合には、同一生計・同一居所という夫婦の実質と、婚姻意思の合致という、3つの要素が必要になるということです。
同棲・同居や婚約では無いことの証明資料としては、以下のようなものがあります。
(1) | 住民票を同一世帯にして、一方が世帯主となり、もう一人の続柄を「妻(未届)」or「夫(未届)」として届け出る ※1 |
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(2) | 自宅の賃貸契約書や売買契約書、もしくは申込書などの書類の同居人の続柄欄に内縁の妻(夫)と記入する |
(3) | 2人分まとめて一緒に家具家財など購入した明細 |
(4) | 事実婚に関する契約書(結婚契約書・準婚姻契約書など) |
(5) | 宛先が事実婚夫婦連名になって届いた年賀状 |
(6) | 結婚式の連名の案内状 |
(7) | 健康保険の被扶養者になっている ※2 |
(8) | 国民年金が第3号被保険者になっている ※3 |
(9) | 勤務先からの給与明細に家族手当が加算されている |
(10) | 事実婚であることを証明するための民生委員等による証明書 |
内縁関係であっても、行政サービスなどにおいて、一定の範囲で法律婚と同様の保障を受けることが出来ます。
- 健康保険の配偶者加入や死亡時受取人
- 勤務先の配偶者手当
- 加給年金の申請や遺族年金の請求 ※4
- 地方公共団体の賃貸住宅申込
なお、内縁関係の配偶者は、法律婚の夫婦とは異なり、法定相続人として遺産を相続することは出来ません。
ただし、例外的に、故人に法定の相続人がいない場合(相続放棄した場合を含む)であれば、「特別縁故者」として遺産を受け取れる場合はあります。
※家庭裁判所に対して「特別縁故者に対する相続財産分与の申立」をして審判の決定を受ける必要があります。
また、内縁関係にある夫婦の場合には、所得税の配偶者控除は受けられません。
※1
平成24年2月10日付 各都道府県知事あての総務省通達(総行住第17号)
「住民基本台帳事務処理要領の一部改正について(通知)」
10ページ 1の(2)(オ)世帯主との続柄の記載方法 参照
http://www.gender.go.jp/policy/no_violence/e-vaw/kanre…
※2 ※3
国民年金法第5条7 および 健康保険法第3条7の「定義」においても、「配偶者」「夫」「妻」は、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものと定められています。
※4
日本年金機構 - 生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき
「住民基本台帳事務処理要領の一部改正について(通知)」
10ページ 1の(2)(オ)世帯主との続柄の記載方法 参照
http://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todoke/kyotsu/2…